
ロードバイクのタイヤっていろんなメーカーのいろんな種類があって、どうやって選んだら良いかわからない…
そう感じたことはありませんか?
筆者も同じで、ロードバイクのタイヤは迷走し、本当にいろんなタイヤを試しました。
そして、「本当に速いタイヤは何か?」を科学的に解明するために、調べものを沢山しました。
筆者の過去の調べものの成果は以下記事を参照してください。
今回はこれらの成果をもとに、「本当におすすめのロードバイクタイヤ」を目的別に筆者が選んでみました。
ロードバイクのおすすめタイヤを選ぶ基準とは

ロードバイクのタイヤを選ぶ基準は、おおまかに5つに分類されます。
- 転がり抵抗
- 空気抵抗
- 軽さ
- グリップ
- 耐パンク性能
それぞれが「タイヤという機材に与える影響の大きさ」については、過去記事を参照してください。
これらの基準は、ライダーがそのタイヤをどのように使うかによって、重要度が変わってきます。
タイムトライアルレースに出るならば、転がり抵抗と空気抵抗を重要視するべきですし、ヒルクライムレースに出るならば、転がり抵抗と軽さ、ロングライドやブルべに出るなら、転がり抵抗と耐パンク性能、その他……
といった具合に、目的によって選ぶタイヤを変えることは、目的のレースなどで結果を出すためにはとても大切なことです。
ロードバイクタイヤの評価に用いる図表
今回行うタイヤの評価には、以下のサイトに掲載されている図表を用います。
各社のタイヤの転がり抵抗や耐パンク性能を測定して掲載しているこちらのサイト↓
各社のタイヤの空気抵抗をヨー角ごとに調べているこちらのサイト↓
それでは、さっそくおすすめタイヤを見ていきましょう!
【Continental Grand Prix 5000 クリンチャー】まさに「オールラウンド」でおすすめな最強ロードバイクタイヤ

2018年に満を持して発売されたContinental GP5000は、まさに全てにおいてオールラウンド、2020年時点での最強タイヤだと言えます。
転がり抵抗
上の表では、転がり抵抗はそんなに低くはないように見えますが、これにはミスリードがあります。以下コラムにまとめました。
クリンチャーか、チューブレスか?
この表のクリンチャータイヤ(タイプの欄にTTと書いてあるものがそれです)は、100gのブチルチューブを使って測定をしています。
ラテックスチューブを使えば、片輪あたり数十グラムの軽量化になり、2~3wの転がり抵抗軽減にもつながります。
そのため、上表では上位に軒並みチューブレス(TLと表記)が並んでいますが、ラテックスチューブを使えば、むしろクリンチャータイヤに分があると言えます。
また、チューブレスはパンク防止策としてシーラントを20~30mL入れることがあり、これは軽量なラテックスチューブを入れるくらいの重量増につながります。
タイヤ自体の重量はクリンチャータイヤの方が圧倒的に軽いので、総合的にみるとクリンチャータイヤの方が優れていると言えます。
というわけで、これらの理由から、GP5000クリンチャーの転がり抵抗は実はランキングトップを争えるレベルであると言えます。
空気抵抗

実は、GP5000の特徴的なトレッドパターンは、空気抵抗の削減にも一役買っているというデータがあります。
このグラフで横軸にとられているヨー角というのは、「ライダーに対して相対的にどれくらいの角度の風が吹いているか」という数字で、大きくなるほど横風になります。
GP5000はヨー角が大きくなるほどに、ほかのタイヤに比べ空気抵抗が小さくなります。
ロードバイクでイベントに出る以上は外を走るわけですから、様々なシチュエーションの中で空気抵抗を減らすには、GP5000が最適であることを示します。
ちなみに、GP5000の特徴的なトレッドパターンの次に空気抵抗が小さいといえるのは、Schwalbe Oneに代表されるスリックタイヤです。
軽さ
GP5000は、同メーカーのsupersonicなどに比べると、一本で40g以上重いタイヤですが、市場全体でみると軽い部類に入ります(supersonicがバグレベルで軽いだけです)。
過去記事で、機材の軽量化によるパワーの節約は登りでも100gあたり0.3wという話をしました。
そう考えると、ヒルクライム以外では、タイヤの軽量化によるパワー削減というのは考えるに値しなさそうです。
タイヤが軽くするということは薄く作るということで、パンクのリスクを大幅に引き上げるものですから(実際、上表でsupersonicの耐パンク性能は高くはない評価を受けています)、
多くの場合、軽さよりも耐パンク性能を重視して、極端に軽いタイヤは避けた方が良いです。
グリップ
これが唯一、データで評価できない要素なのですが、GP5000のグリップは、筆者の主観ではかなり良いです。(ここに関してはインプレになってしまいます。すみません)
もともと、Continentalのタイヤはどれもグリップが良いことで有名ですが、GP5000は特に良くて、天候、路面を問わずグリップしてくれます。
筆者が2020年2月に出場したツールドランカウイでは全日このタイヤを使いましたが、このタイヤのグリップのおかげで安心して集団の中を走ることができました。

耐パンク性能
GP5000は耐パンクもすごくて、上表では画面に収まりきるだけのトップランクのタイヤのうち、唯一GP5000だけが、トレッド部の耐パンク性能で10点をマークしています。
トレッド自体が分厚いのでこれは当然で、むしろすごいのは、「トレッドの厚さのわりに転がり抵抗が極端に低い」ところだと言えます。
筆者が出場したツールドランカウイでも、パンクは1度もありませんでした。
GP5000におすすめのイベント
まさに「オールラウンド」というタイヤなので、とりあえずなんでもこのタイヤをつけておけば間違いはないと思うのですが、強いていえば以下のイベントにおすすめです。
- アップダウンのあるロードレース
- クリテリウム
- ロングライドやブルべ
逆に、ここに入っていないヒルクライムやタイムトライアルにおいては、次に紹介するMichelin Power Time Trialの方が速くなる可能性があります。
GP5000を選ぶ上での注意点: 空気圧設定は慎重に!

一方、逆に「タイヤのトレッドが分厚い」という点が筆者は唯一気になっているポイントです。
というのも、空気圧設定について書いた記事を参照していただくとわかるのですが、
分厚いタイヤは、転がり抵抗を最小化する最適な空気圧の幅が狭い
という特徴があって、薄いタイヤの方が、空気圧設定を多少間違えても、転がり抵抗があまり上昇せず受け入れてくれます。
そのため、GP5000を選ぶ際は、ほかのメーカーのフラッグシップタイヤに比べ、空気圧設定にシビアになる必要があります。
そして、転がり抵抗は、最適な空気圧に比べて高く間違えるよりは低く間違える方が上昇幅が小さいので、空気圧で迷ったら低めに設定しておくことをおすすめします。
このあたりの詳しい設定についてはこちらの記事に書いていますので、興味がある方は読んでみてくださいね。
【Michelin Power Time Trial クリンチャー】タイムトライアル・ヒルクライムならおすすめはこのロードバイクタイヤ

タイムトライアルやヒルクライムに特化して結果を出したい場合、このタイヤでしょうか。

転がり抵抗、空気抵抗、重量、耐パンク性能
GP5000よりも片輪で1.5w程転がり抵抗が小さく、片輪15g軽く、スリックタイヤなので空気抵抗もさほど変わりません(上記空気抵抗を調べたグラフをご覧ください)。
チューブをラテックスにかえるだけで、どんなチューブレスタイヤよりも低い転がり抵抗をマークするでしょう。
しかし、トレッドはかなり薄く作られていて、耐パンク性能はかなり犠牲にしていると考えます。
そのため、長距離を走るロードレースや、ロングライド、ブルべではパンクのリスクが上回るでしょう。
一方で、ヒルクライムやタイムトライアルといった、「ここぞ」というときの決戦タイヤとしては向いていると言えます。
グリップ
このタイヤは筆者は使ったことがないので、グリップに関しては分かりません。発売も2020年5月と新しいこともあり、現時点ではグリップに関して参考になりそうなレビューも見つけられませんでした。
使用していて使用感が分かる方は、追記させていただきますので教えてくださると幸いです。
【Continental Ultra Sport 3 クリンチャー】言わずと知れたハイコスパロードバイクタイヤでおすすめの最新作

最後に紹介するのは、言わずと知れたハイコスパタイヤ「Ultra Sport」の2020年2月に発売された最新作です。
特筆すべきは価格と耐パンク性能
そもそもが「練習タイヤ」という位置づけなので、転がり抵抗や空気抵抗、軽さといった項目では上位のモデルにはかないません。
しかし、上表では同程度の転がり抵抗を持つタイヤの一覧画面の中で唯一「low」の価格帯でランクインしており、上位のタイヤにも引けを取らない低い転がり抵抗を実現していると言えます。
驚くべきは3,300円(税抜)という価格で、それでいて耐パンク性能も10点をつけているんだから驚きです。
Ultra Sport 3を選ぶべきシチュエーションは?

ハイコスパ・高耐久のタイヤなので、競技をする人の日ごろの練習や、ツーリングなどを楽しむ人の普段使いのタイヤとしておすすめです。
ロードバイクのタイヤのタイプ: チューブラーは遅い?
今回、筆者はクリンチャータイヤの中からおすすめを選んだわけではないのですが、結果的にクリンチャーのみが選ばれました。チューブラーとクリンチャーの比較に関しては上で話しています。
タイヤに関する調べ学習で気づいたことがあって、チューブラーは実は速くないということです。
bicycle rolling resistanceサイトの転がり抵抗のランキングを見ても、チューブラータイヤはわずか5商品しか表にランクインしていません。
最も速いチューブラータイヤはvittoliaのcorsa speedですが、全体でみると6位、かつ、風洞実験の結果もとびぬけて良いわけでなく、唯一誇れるのは、ホイールまで含めたシステム全体の軽さくらいでしょうか。
しかし過去記事で話した通り、機材の軽さというのは100g軽量化してせいぜい登りで0.3wの節約ですから、転がり抵抗や空気抵抗の大きさに比べればわずかといわざるを得ません。
Continentalが満を持してGP5000をリリースした際、チューブラーをラインナップしなかったのにはそんな理由もあるのかもしれませんね。
というわけで、今回チューブラータイヤはおすすめに登場することはありませんでした。
おすすめのロードバイクタイヤまとめ: タイヤを換えて効率よく速くなろう
いかがだったでしょうか?
今回は過去記事から、「本当に速いタイヤ」を選ぶ基準を導き、その基準に沿って、レース用に2本のタイヤ、練習用に1本のタイヤを紹介しました。
これ以外にも、参考リンクをたどればいろいろなタイヤのデータが出てきますので、筆者の考え方をタイヤ選びの参考にしていただければ幸いです。
それではまた。