筆者が所属する愛三工業レーシングチームは、ミズタニ自転車さんから、コンチネンタルGP5000を支給していただいています。
結論としては、筆者が競技人生で試してきたタイヤの中で、間違いなくベストタイヤの1本に入ると思うタイヤです。今、私物でレースに出るならどのタイヤを選ぶかと聞かれたら、GP5000と答えると思います。
この記事は、昨年5月から練習・レースで2.5万kmをGP5000で走ってきた筆者による、GP5000のインプレッションです。
GP5000の耐パンク性能: 寿命は5,000km?
GP5000はサイドが弱いって聞くけどどうなんだろう。
GP5000をこれまでに25,000km使ってきましたが、噂のサイドカットによるパンクは一度もしたことがありません。
それどころか、GP5000を使い始めた昨年5月から、普通に走っていて一度もパンクしていません。
ただ、前作のGP4000S2に比べると、タイヤのトレッドの減りが早いような感覚はあります。
GP4000S2はあまりに耐摩耗性が高いので、ホビーの方なら練習タイヤは年間1本で十分といえるくらい、後輪でも5,000キロ不安なく乗り潰せてしまうようなタイヤでした。
それに比べると、心もとない印象はあります。
5,000km使った後輪
筆者が実際に使ったGP5000のインジケータの様子です。2020/5/5から2か月半で約5,000km、練習タイヤとしてガンガン走りました。
全体的に形状が台形になり、インジケータの深さも7割減ったな、という感じでしょうか。
このような突起物の食い込みもあります。練習用に使うにしてもそろそろ交換時期かなという印象です。
9,000km使った前輪
実は、後輪は5月時点で不安になったので交換したのですが、前輪はまだ大丈夫そうだったので、交換しないで2月から使い続けてきました。
ローラーでメニューすることも多いので実際に9,000km走ったかは怪しいですが、8,000kmは使ったと思います。
突起物の食い込みはありましたがインジケータはまだ5割程度残っています。
ただ、後輪にはまだあまり見られなかった紫外線による劣化で表面がシワシワになっています。これも鑑みるとこちらもそろそろ交換ですね。
GP5000の寿命は5,000km以上、最長半年
あくまで練習用タイヤとしてガンガン使う場合ですが、これくらいは持ちそうです。
高価格帯のレース用タイヤは、レース3本走ったらもう不安なほど食い込みが見られたり、トレッドが減ったりするものが少なくないですが、それとはくらべものにならないと思います。
そもそも決戦用として使うタイヤを練習用タイヤと同じ土俵で比べることがお門違いです。
それでも、GP5000は練習用タイヤと互角に渡り合える耐久性があります。
GP5000のライドフィール
GP5000のライドフィールは、
「コンチネンタルらしさを残しつつ、マイルド」
といった感じです。
もともとコンチネンタルのタイヤは、トレッドが硬く、路面の振動をそのまま伝えてくるような、よく言えば路面の状態が分かりやすい、悪く言えば疲れるタイヤでした。
GP5000はそうしたフィーリングを残しつつ、コツコツと角がとれた振動を伝えてくれるタイヤだと感じています。
Vittoria Corsaのような「接地していないかのようなフワフワ感」も筆者は好きなのですが、本格的な峠を下ったり、クリテリウムのようなコーナーの多いレースを走るときであればGP5000の方が安心感があります。
それでいて、転がり抵抗の測定値は最新のCorsaとチューブレスで同等、クリンチャーで低いんだから感服です。
上の表でTLはチューブレス、TTはクリンチャーです。チューブレスのCorsaは最も転がり抵抗が小さいのですが、クリンチャーのCorsaは意外にも転がり抵抗が大きく、ランキングが下なので画面から見切れてしまっています。
また、ここにランクインしているGP5000以外のタイヤたちはいずれも、タイムトライアル用に特別トレッドを薄く作ったりして転がりを軽くしているタイヤなので、耐パンク性能は犠牲にしていると考えてよいでしょう。
それを考えると、数字で見てもGP5000は無敵のオールラウンドタイヤと言えます。
GP5000のグリップ
GP5000のグリップは良いです。数字上、転がりは軽いのに、路面にペタっと張り付いているかのようなグリップを感じられます。
実は一度GP5000を履いて練習中に落車したことがあるのですが、それは林道でコーナー出口が急にグラベルになっていてグリップを失ったもので、舗装路面では全く不安なくグリップしてくれています。
中でも特筆すべきは雨天時のグリップで、GP5000を履いているとしっかりとタイヤが路面の凹凸を捉えているという安心感があります。
前作のGP4000S2と比較しても向上していると思います。
筆者が2020年2月に出場したアジア最高峰のステージレース「ツールドランカウイ」では、全日GP5000で走り、グリップの安心感があったので集団内で余裕をもって位置どることができました。
GP5000の良くない点
正直言って、レース用タイヤの位置づけで、転がりが軽くグリップもしっかりして、耐久性もあるなんて魔法の万能タイヤだと筆者は思っているので、不満な点は今のところないです。
強いて言えば、学生に戻って私物として買うなら、レース用タイヤなので値段がそこそこに張ることでしょうか。
それでも、レース用として使うなら1シーズン前後輪1本ずつで足りると思うので、コスパは良いと思います。
GP5000をおすすめできる人
ロードレースやブルべ、ロングライド、練習でもレースと同じタイヤを使いたい人、どんな人にでもおすすめできます。
ただ、ヒルクライムとタイムトライアルに関しては、もっと耐パンクを犠牲にしてもいいから転がり抵抗を削減したいという方は別のタイヤをおすすめします。
そのあたりのことはこちらの記事で書いていますのでご覧ください。
GP5000のスペック
コンチネンタル GRAND PRIX 5000(クリンチャー)
サイズ | ETRTO | TPI | 重量(g) |
---|---|---|---|
650x25B | 25-584 | 330 | 205 |
650x28B | 28-584 | 330 | 230 |
700x23C | 23-622 | 330 | 200 |
700x25C | 25-622 | 330 | 215 |
700x28C | 28-622 | 330 | 235 |
700x32C | 32-622 | 330 | 290 |
コンチネンタル GRAND PRIX 5000TL(チューブレス)
サイズ | ETRTO | TPI | 重量(g) |
---|---|---|---|
650x28B | 28-584 | 180 | 330 |
700x25C | 25-622 | 180 | 300 |
700x28C | 28-622 | 180 | 345 |
700x32C | 32-622 | 180 | 370 |
それでもサイドが気になる人に: GP5000のツールドフランスエディション
2020/7/14、GP5000のツールドフランスのスペシャルエディションが発表されました。
GP5000の耐パンクベルトである「Vectran」をサイドウォールにも配置し、噂されているサイドカットのリスク(筆者は感じていませんが)を抑えることができます。
デザインも昔のアメサイドみたいでカッコ良いです。
価格は9,000円(税抜)とお高めですが、サイドカットが怖い人は、こちらを購入してみたら良いと思います。
まとめ: GP5000は最強のオールラウンドタイヤ
こちらの記事でも書いたのですが、まさにGP5000は最強のオールラウンドタイヤで、2020年現在このタイヤの右に出るものはいないと言って良いです。
空気圧設定や、タイヤの選び方についてご興味があれば以下をご覧ください。
それではまた。