コーチ目線で自分のタイムトライアルを分析してみた

データサイエンス
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著者紹介

自転車に乗る医学生。元プロロードレーサーの経験を活かし、パワートレーニングコーチをしている。

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中の人がJプロツアーかすみがうらタイムトライアルに参戦してきました。

結果はトップから23秒遅れの12位。

結果は12位。自分にとってこの結果は、思っていたよりも悪い結果でした。

何が悪かったのか分析するため、今回のTTのデータをみてみようと思います。先に結論を書いておきます。

  • ペーシングは良かった。
  • 最後にもう少し追い込む余地があった。
  • 長袖ウエアは肘が滑るので注意。
  • 1周目のコーナーをもっと攻める余地があった。

なぜこのような分析になるのか、みていきましょう。

概観

まず、今回のTTで、2021年最高レベルの心拍数を記録。

TrainingPeaksのワークアウトのトップ画面

慢性的な疲労があるときや、どこか身体の調子が悪い時は心拍数はむしろ低く出る傾向にあるので、調子自体は悪くなかったと思います。

パワーデータなどの画面

パワーを見ると、avgが336w、NPが341w。

自分の10分のピークパワーが360wくらいなので、これはあまり良くありません。

コーナーの立ち上がりなどがあるので平均パワーは低くなるでしょう。しかしNPはそれらを考慮して標準化したパワーなので、本調子であればもう少し高い値を出せるはずでした。

ペーシング

次にペーシングについて。

タイムトライアルにおいてペーシングは非常に重要で、レース前のアドレナリンに任せてスタートから踏んでしまうと、後半に限界を超えて失速してしまいます。

なので終盤にペースを上げて限界を出し切って終えられるようなペーシングが理想です。

これを見るにはwkoというソフトを使います。

1周目と2周目のパワーを重ねて表示する

上のグラフでは、1周目と2周目のパワーを重ねて表示してみました。データの中央付近にある点線は、数値の傾向を示すラインです。

大まかにみると、1周目(黄)と2周目(緑)で大きな数値の違いは見られず、全体を通して安定したパワーで踏めていることがわかります。

また傾向を見ると、2周目の緑のラインは後半にかけて数値が上がっていったことを示しており、2周目の後半にかけてラストスパートで踏みを入れたことがわかります。

これは傾向をパーセントで表した数字で見ても顕著です。

1周目はパワーの傾向がわずかに下降傾向なのに対し、2周目は上昇傾向

つまりタイムトライアルのペーシングとしては良かったと分析します。

全力を出し切れたのか?について

次に全力を出し切れたのか、評価していきます。

これにはdFRCという数値を使います。

dFRCとは、無酸素領域でどれくらいダッシュしたか?を表す数値で、それぞれの選手で固有のキャパ(スタミナゲージみたいなもの)があり、使い切るともうダッシュできない、ということになります。

ということは、タイムトライアルにおいてはゴールの時にこれを使い切って終われることが理想的です。

そのデータがこちら。

dFRC

紫の実線がdFRCで、これが0になると、無酸素容量を使い果たしたことになります。

うーん。ゴールした時に4kjくらい残っています。なので最後にもう少し追い込む余地がありそうです。

このように追い込み切れない時の要因として多いのは、

  • ポジションが悪くて快適に踏めなかった(特定の筋肉が痛くなるなど)
  • 攣ってしまった
  • その他、快適に全力を出し切れない要因があった

場合が多いです。

自分の場合を振り返ると、今日は初めて長袖ウエアを着て出走したのですが、パッドの上で長袖の肘部分が滑って前腕が前にずれてきてしまい、頻繁に位置を直す、ということをやっていました。

練習の時は半袖ウエアで乗っていたのに、本番で違う機材を使った僕のミスです。次回に向けて良い勉強になりました。

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コーナリングテクニックなど

テクニックなんてデータで見てわかるのか?と思われるかもしれませんが、これはスピードをみて判断します。実際には、同じコースを走った他の選手のデータがあれば、相対的に評価できてなお良いです。

1周目と2周目のスピードを重ねて表示した

全体を通して同じようなペースで進んでいるのですが、少し差が出ている部分がありますね。

コーナーです。

手書きで赤丸で囲んだ部分のコーナーは、いずれも1周目が遅くなっています。

今回のTTでは、レース前に試走時間があり、実際にレースペースで1周走ってコーナーの深さなどを確認していたにもかかわらず、1周目は攻め切ることができませんでした。ここは反省点です。

まとめ

ということで、これらのデータ分析を通してみた今回のタイムトライアルのまとめです。

  • ペーシングは良かった。
  • 最後にもう少し追い込む余地があった。
  • 長袖ウエアは肘が滑るので注意。
  • 1周目のコーナーをもっと攻める余地があった。

実際には、これらを全て改善できていたとしても、優勝タイムには届いていなかったと思います。

根本的な強化が必要です。

今回はこんなところで。

お読みいただきありがとうございました。


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