パワーメーターを買ったけど、データが何を表してるのかも、どうやってデータ管理したら良いかも全然わかんない!
パワーメーターの購入を検討してるけど、データの扱いとか難しそうで、使いこなせるかわからないから手が出せない…
意外とこんな方は多いのではないでしょうか。
筆者も、パワーメーターを使い始めたころは、ただ走行中にデータが表示されるのが楽しかったですが、それ以外の分析や管理といったことは何もしていませんでした。
でも、今になって言えることは、
「パワーメーターはきちんとデータを管理して、分析してこそ意味がある」
ということです。
今回は、パワーデータを管理・分析するために利用すると便利なアプリ・ソフト・その他ツールをご紹介します。
ロードバイクのパワートレーニングデータ管理に使えるアプリ・ソフトまとめ
Golden Cheetah(ゴールデンチーター)
まず最初にご紹介するのは、言わずと知れた神ソフト、ゴールデンチーターです。
ゴールデンチーターは、プログラマーが空き時間に作成しているオープンソースのパワーデータ分析ソフトです。
高度なパワートレーニングを行うための分析が一通りでき、完全無料で利用できます。
基本的にはこのソフトを使いこなせれば、パワートレーニングコーチですらも満足できる分析手法が搭載されていますので、アマチュアの方であれば分析できる内容が不足していると感じることはないと思います。
欠点を挙げるとすれば、無料ソフトのため更新が不定期、かつサポートが不十分です。
あと、走行データの自動アップロード機能は、Stravaにのみ対応しているようです。Garmin Connectなどと連携したい場合などに対応できないというのが欠点ですかね。
無料なのでこのあたりは仕方ないと思います。というかこれだけの機能がついて無料というのは神といわざるを得ません。
あと、言語が全編英語で、かつ表示できるグラフも高度かつ難解なため、使いこなすには多少のパワートレーニングの勉強が必要になります。
その他のゴールデンチーターの使い方の流れについては以下のアフログさんのサイトが詳しいので、ご覧ください。
WKO5
こちらは、次にお話しするTraining Peaks社が販売している、パワーデータ専用の分析アプリです。
169ドル(日本円でおよそ18,000円)と高価ですが、パワーデータの分析において機能が最も充実しているということは断言できます。
というのも、「パワートレーニング」という概念自体をTraining Peaks社が研究開発し、先導してきたからです。
他のアプリは全てTraining Peaksに追従する形でできたものですし、TSS、NPといったパワートレーニングの基本的な要素の権利は全てTraining Peaksに帰属しています。
すなわちこの会社の分析ソフト≒現時点でのパワトレの全てです。
実はWKO”5″という数字が示す通りWKOはバージョンアップを繰り返していて、徐々に解析できる内容とユーザビリティをアップデートしてきました。
WKO4からのアップデートでは、TIS(Training Impact Score)やdFRC(dynamic Functional Reserve Capacity)といった新しい指標が追加されました。
これらの新指標の説明は、高度なパワートレーニングの知識を必要とするのでここでは省略します。
一点、追記しておきたいのは、WKO5で新たに追加されたdFRCという指標は、上記のGolden CheetahではwBalとして以前から解析できていたものに、Training Peaks独自のアルゴリズムで改良を加えたものと言われています。
つまり、無料ソフトのGolden Cheetahから着想を得てTraining Peaksが採用したということです。
そういう意味で、Golden Cheetahは機能面だけで比較しても、高価なWKO5に引けを取らないくらい優秀なソフトと言えます。
脱線しました、WKO5の使い方に関しては、日本語で詳しく説明したサイトがなかったので、とりあえず公式サイトをリンクしておきます。
使い方や具体的な分析方法などについて解説したらそちらのページのリンクも貼りますね。
Training Peaks(トレーニングピークス)有料版
筆者の経験の中では、年間$119と有料にはなりますが、現在でもこれが一番便利でよく活用しています。
というか、筆者の場合、パーソナルコーチからのメニューがこのアプリ上にアップロードされるので、最低でも1日1回は開いています。
このように、コーチングを受ける際の拡張性に優れているのも特徴です。
なので、ストイックに追い込む、ランやバイクのトップアスリートで使っていない人はいないのではというくらい人気のアプリケーションです。
まず、連携できるアプリケーションがたくさんあるので、ガーミンコネクトなどでwifi経由でログをアップロードしたら、自動的に連携されてログを見ることができます。
トレーニングは毎日やるものなので、このあたりの手間は極力省きたいですよね。
分析に関しても、パワトレ中級者以上の方でも満足できる内容がそろっていて、このアプリの解析だけでは満足できないのはトップアマやプロ選手と、パワートレーニングコーチくらいだと思います。具体的には4分割分析などは行えません。
まず試してみたい、という方には2週間の無料トライアルもあるのでぜひ試してみてください。
トレーニングピークスの使い方については、以下のアフログさんのページや、cycle studio iさんのサイトが詳しいです。
Cyclo-Sphere(シクロスフィア)
こちらはパイオニア社のペダリングモニターを使用している方が利用できるソフトウエアになります。無料で使えます。
2020年3月31日をもってパイオニア社の製品販売が終了し、パイオニア社のサイクル事業は天下のシマノさんが引き継ぐことになりました。
シクロスフィアに関してもシマノに引き継ぎが行われるようなので、今後細かい仕様変更などあるかもしれません。
分析に関しては、CTLやTSBといった数値を用いたPMC(パフォーマンス・マネジメント・チャート)が作成方法が確認できなかったほか、4分割分析なども行えないようなので、分析アプリとしてはいまいちかもしれません。
パワーデータの分析手法のキホンについてはこちらのページで解説しているので、参考にしてください。
逆に長所は、パイオニア社が独自に開発したアルゴリズムで、ペダリング効率などのデータを分析できる点や、ダンシングのデータのみの抽出もすることができる点です。これはパイオニアユーザーの特権です。
使い方については公式サイトが詳しく説明してくれています。
Strava Summit
こちらは、かの有名なStravaの有料版プランです。
「トレーニング」「セーフティ」「アナリシス」の3つのプランがあります。
分析に関しては、その日のライドのパワーデータを分析するには十分ですが、Cyclo Sphere同様、長期的なパフォーマンス分析や、トレーニング量の分析を行うことはできません。
使い方についてはこちらのサイトが詳しいです。
Garmin Connect
ガーミンコネクトは、ガーミンユーザーが使うことのできるアプリケーションです。
ガーミンユーザーの購入者特典のようなアプリなので、無料ですが、分析内容はほぼStrava Summitと同様です。
ガーミンコネクトでのパワーデータの見方などについてはこちらのサイトが詳しかったです。
で、おすすめのパワートレーニング管理用アプリは?
今紹介した各種アプリ、ソフトのそれぞれを、機能別に評価してみました(評価は筆者の完全主観です。忖度なしです。)
価格 | 他アプリ連携 | 分析機能 | 使いやすさ | 総合評価 | |
GoldenCheetah | 無料 | △ | ◎ | △ | ★★★★ |
WKO5 | $169(買い切り) | ◎ | ◎ | ◯ | ★★★★★ |
TrainingPeaks | $119(年額) | ◎ | ◯ | ◎ | ★★★★★ |
Cyclosphere | 無料 | ◯ | △ | ◎ | ★★★★ |
StravaSummit | 800円(月額) | ◎ | △ | ◎ | ★★★ |
GarminConnect | 無料 | ◯ | △ | ◯ | ★★★ |
「ということは、おすすめはWKO5かTraining Peaksってこと?」と聞かれそうですが、
筆者は両方組み合わせて使うことをおすすめします。
というのも、WKO5とTraining PeaksはどちらもTraining Peaks社の商品なので、合わせて使うとデータの取り込みやスケジューリングが非常にやりやすくなります。
日々のトレーニングやスケジュール、基本的なパワーデータの分析はTraining Peaksでやって、より詳しい分析はWKO5でやる、というのが王道だと思います。
なぜなら先ほど言ったように、Training Peaks社がパワートレーニングの総本家だからです。
しかし、なかなかそうはいっても、年間119ドル(日本円で13,000円くらい)という会費と、WKO5の初期投資169ドルを払いたくないという方もいらっしゃるでしょう。
そんな方には、「CycloSphere」「Strava Summit」「Garmin Connect」のうちどれかと、「Golden Cheetah」を組み合わせて使うことをおすすめします。
前者の方は、パイオニアユーザーやガーミンユーザーなら自然と使うアプリは自社のものになってくると思うので、それ以外の会社のサイコンをお使いの方はStrava Summitに課金するという形になると思いますが、それでもTraining Peaksよりは安くあがります。
そしてGolden Cheetahは完全無料なので、一応「WKO5+Training Peaks」に匹敵する機能を格安で使うことができることになります。
(とはいっても、ユーザビリティの面でTraining Peaksは最強なので、一度使ったら戻れなくなると思いますが…)
そこでさらにおすすめしたいのが、一度筆者の言った、格安に済ませる方法でパワートレーニングを行ってみて、慣れてきたら、Training PeaksとWKO5の2週間の無料トライアルを試してみて、良かったらそちらに移行する、というやり方です。
パワートレーニングはある程度勉強が必要なので、最初から無料トライアルを試してしまうと、使い方が分からないうちに2週間が過ぎてしまうことがあります。
なので格安の方法で試してから、というところを最も推してます。
まとめ: まずは各社純正アプリ+Golden Cheetahから始めよう。
いかがだったでしょうか?
まずはここから始めて、良かったら、総本家のTraining Peaks社が提供する2つのサービス、WKO5とTraining Peaksの無料トライアルを試してみましょう。
具体的なパワートレーニングの管理の仕方については以下のページに書いているほか、これからもフォローしていく予定なのでご期待ください。
おまけ: パワートレーニングを学ぶなら必読の本
このサイトのパワートレーニングの基本的な内容は、ハンターアレン、アンドリューコーガン博士共著の『パワー・トレーニング・バイブル』に準拠しています。
2011年の本なので、最新のパワートレーニングの指標の活用などは載っていないのですが、依然としてこの本がパワートレーニングの「バイブル」であることに変わりはありません。
このサイトのパワートレーニングに関する記事の内容を「知らなかった!」と感じる方であれば、この本の内容は必ずや役に立つ内容だと思いますので、まだお持ちでない方はご購入されることをおすすめします。
その他おすすめの書籍があれば、随時紹介していきますね。
それではまた。